賃貸管理コラム
サブリース解約における弁護士の必要性や弁護士費用について詳しく解説します。
例えば期間満了により契約が終了し更新がない「定期建物賃貸借」としてサブリースの契約を結んでいる場合は、期間の完了を待つことでオーナーから解約できることが多いです。
ただし期間満了後に契約の更新がある「普通建物賃貸借」として契約を結んでいる場合、オーナーから更新を拒絶する際、借地借家法28条により 正当事由があると認められなければなりません。
加えて期間満了時に借主が物件を継続して利用している際には遅滞なく異議を述べることや、更新を拒否する旨の通知を期間満了する6カ月前までに送る必要などがあります。
契約期間中に解約したい場合、「普通建物賃貸借」「定期建物賃貸借」のどちらを結んでいても正当事由が必要です(借地借家法28条)。またオーナーから解約する権利が契約で認められている必要があります。(民法618条)
契約期間中の解約や、普通建物賃貸借で更新を拒絶するには正当事由が必要になるため、まずは正当事由を不要にしてもらうために話し合いますが、サブリース会社が応じない場合は裁判などで契約の終了を求めます。 正当事由の有無などで、専門家への法律相談が必要になる可能性は十分にあります。
オーナーが、サブリース会社が長期間借りてくれる前提で借り入れをして建物を建てている場合、期間満了前に中途解約をして出て行ってしまえば、借り入れの返済が困難になります。
そのためサブリース会社は賃料減額のために中途解約をほのめかす可能性があり、オーナーが苦しくなることがあります。
借地借家法第32条の規定では、建物の賃料が経済事情の変動によりほかの賃料に比べ不相応になった場合、その増減を請求できるとしています。
借地借家法は借主を保護する観点での法律です。サブリース契約においては、オーナーが貸主、サブリース会社が借主です。そのためサブリース会社(借主)に有利な条文が多くあります。
ただし「普通建物賃貸借」でなく「定期建物賃貸借」としてサブリースの契約を結んでいる場合、契約で「契約期間中の賃料の減額はできない」と事前に定めていれば、借地借家法38条7項により賃料減額の請求を拒否できます。
例えば、以下のようなケースでは正当事由が認められやすいとされています。
一方、単に「サブリース会社と合わない」「ほかの管理会社に変更したい」といった理由では、正当事由として認められないことが多く、裁判になった場合も解約が難しくなる可能性があります。契約内容や判例を確認しながら、慎重に判断することが重要です。
賃貸物件オーナーが「サブリース契約更新解除」を勝ち取った令和5年の判例…今後の同種事例の指針に【弁護士が解説】での事例ではオーナーが建物の使用を必要とする事情があると判断され、立ち退き料を支払うことで正当事由が認められました。
またサブリース会社側の契約違反が明確である場合、契約解除が認められた実例もあります。
これらの判例は、サブリース契約の解約が不可能ではないことを示しています。
しかし解約には法律的な知識や交渉が必要になることが多いため、契約内容を慎重に確認し、必要に応じて弁護士に相談することが望ましいでしょう。
サブリースには契約期間が設定されているケースが多く、期間内に解約する場合、違約金が発生します。一般的な相場は月額賃料の3〜12カ月です。
例えば月額9万円の物件であれば、
9万円 × 3カ月~12カ月 = 27万円~108万円 となります。
以下は、区分所有マンション1戸のサブリース解除を弁護士に頼む費用の目安です。
インターネットで不動産に強い弁護士を探すことも有効ですが、新たに契約を検討しているサブリース会社か不動産管理会社への解約相談もおすすめです。
(賃貸管理に詳しい弁護士と提携している会社など)
これらの事件を知ることで、サブリース契約のリスクを理解し、トラブルを回避する方法を学ぶことができます。
代表的なものとして、以下の2つが挙げられます。
BLAZEは、アパートオーナーから物件を一括借り上げし、一定の賃料を支払うサブリース契約を提供していました。しかし、資金繰りの悪化により、オーナーへの家賃支払いが滞る事態が発生。最終的には多くのオーナーが経済的な損害を受けました。
シェアハウスをサブリースするビジネスモデルを展開していたスマートデイズの資金繰りが悪化。結果的にオーナーに支払うべき家賃が滞り、多くのオーナーがローン返済に苦しむことになりました。
これらの事例から分かるのは、サブリース契約を結ぶ際に会社の経営状況や契約内容を慎重に確認することが必要不可欠であるということです。
どんなに有名な会社であっても、経営が悪化すれば支払い能力を失うリスクがあるため、オーナー自身が慎重に判断する必要があります。
契約内容の確認や、リスク回避のための選択肢を持つことが重要です。
契約書の内容が複雑な場合は、不動産に強い弁護士や専門家に相談し、契約のリスクを事前に把握しておくことが賢明です。
オーナー自ら管理する自主管理以外に、賃貸物件の管理のみを管理会社に委託する管理委託という選択肢もあります。
サブリース契約に頼らない運営方法を検討することで、契約解除後の選択肢を広げることができます。
財務状況が不安定な企業と契約すると、長期間の家賃保証が難しくなります。経営の安定性をしっかり確認することが大切です。
管理戸数が多いことは管理会社の信頼性を示す指標になります。さまざまなケースに対応してきた経験があり、トラブル対応能力の高さも期待できるでしょう。
無理な条件を提示したり、強引な営業で戸数を増やしたりしている会社は避けましょう。
オーナーが安心して契約を継続しているかどうかを見極めることが、信頼できるサブリース会社を選ぶポイントとなります。
サブリース契約にはリスクが伴いますが、適切な会社を選び、契約内容を慎重に確認することで、トラブルを回避できます。過去の事例を学び、慎重な判断を行いましょう。
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