賃貸管理コラム

不動産投資における”免責期間”とは?サブリース契約で損をしないための条件と活用法

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不動産投資を始める際に、「免責期間」という言葉を耳にしたことがある方もいるでしょう。

特にサブリース契約においては、この免責期間がオーナーの収益性に影響を及ぼす重要な要素です。

不動産投資における免責期間の意味や適用条件、契約時に確認すべきポイントを詳しく解説します。

さらに、サブリース契約の注意点にも触れながら、不動産投資で損をしないための知識をお伝えしています。

不動産投資(サブリース)における免責期間とは?


不動産投資の方法の一つに「サブリース契約」というものがあります。

サブリース契約とは、不動産会社がオーナーの物件を借り上げ、部屋を借りたい人を探して賃借契約を行う、転賃や一括借上とも呼ばれる方式です

「免責期間」はサブリース契約において、新しく入居者を募集する際、不動産会社からオーナーへの賃料の支払いを免除する期間のことです。

そのため、免責期間が長く設定されているほどオーナーの収益が下がってしまいます。

免責期間がオーナーの収益に与える影響


サブリース契約では、不動産の管理をしなくていいだけでなく、オーナーは毎月定額の家賃を受け取れるという仕組みです。

空室がある場合でも家賃保証により収入を得られるので、その点はサブリース契約のメリットと言えます。

しかし、免責期間が定められているので、ずっと家賃収入が得られるわけではありません。

免責期間は一般的に2〜3カ月程度で、期間中は新たな入居者が入居しても、オーナーへの支払いが免除されます。

たとえば、免責期間が3カ月となっていて、6月1日にサブリース契約をしたとします。

免責期間は3カ月ですので、6〜8月までの3カ月分の賃料はオーナーには入ってきません。

免責期間が適用されるタイミング


免責期間が適用されるタイミングは主に2つあります。

①サブリース契約締結時
不動産会社とサブリース契約を締結する際、これから入居者を募集する空室分は免責期間が適用されます。

契約内容によっては、入居中の部屋の賃料も免責期間に該当し、オーナーの家賃収入がゼロになることもあるようです。

②退去後
契約内容にもよりますが、基本的に入居者が退去した翌月から免責期間が適用されます。

①②どちらにも言えることですが、契約内容によって免責期間が適用されるタイミングには差があります。

入居者が入れ替わるタイミングは要注意


サブリース契約を長期で結んだ場合、入居者が入れ替わるタイミングがくるでしょう。

入居者が退去後、部屋の原状回復や次の入居者募集の期間として、退去後の数月間は、入替免責期間(再免責期間)です。

よって、この期間中はオーナーに賃料が入ってこないことになります。

仮に、退去後1カ月以内に次の入居者が決まり、すぐに部屋が埋まってもオーナーには賃料が入ってこないのです。

ちなみに、入替免責は免責期間と同じ意味で、不動産会社によって言い方が違うことがあります。

サブリース契約する際の免責期間の確認ポイント

不動産会社とサブリース契約を締結する際、免責期間について確認しておかないとオーナーが損をする可能性があります。

以下は、サブリース契約の免責期間において特に確認すべき項目です。

  • いつから免責期間が始まるのか?
  • いつまで免責期間が適用されるのか?
  • 退去時にも免責期間があるのか?

それぞれのポイントを詳しく見ていきましょう。

初回免責期間の発生日


一般的に、オーナーの物件を不動産会社に引き渡した日が「初回免責期間」の発生日です。

初回免責期間の開始日は、不動産会社との契約書や重要事項説明書に記載されています。

この日から契約で決められた免責期間中はオーナーへ賃料が入ってきません。

免責期間が3カ月であれば契約してから3カ月は収入がゼロということになります。

免責期間が適用される期間


サブリース契約前に不動産会社から交付される重要事項説明書には、免責期間が記載されています。

一般的に免責期間は2〜3カ月ですが、不動産会社によってはそれ以上の期間を設けるところもあるようです。

免責期間が長いほどオーナーが得られる収益が少なくなるため、必ず適用される期間を確認しましょう。

また、重要事項説明書では修繕費用や家賃保証の条件などもきちんと確認しておくことで、のちのトラブルを防ぐことに繋がります。

退去時の再免責期間(途中免責期間)の有無


退去時に設けられている免責期間のことを再免責期間(途中免責期間)といいます。

再免責期間は部屋の原状回復や次の入居者を募集するための期間であり、基本的に1カ月程度です。

しかし、再免責期間が1カ月でもサブリース契約期間中に入退去が5回あった場合、計5カ月分の賃料がオーナーへ入ってこないことになります。

設備故障による賃料の免責期間


2020年4月1日の民法改正により、設備故障における賃料減額のルールが以下に変更となりました。

【民法第六百十一条】 「賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、それが賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、賃料は、その使用及び収益をすることができなくなった部分の割合に応じて、減額される。」

引用:e-Gov 法令検索 | 民法

上記の意味を簡単に説明すると、故意ではなく天災や経年劣化などにより部屋の一部や設備が壊れた場合は、状況に応じて家賃を減額ができるということです。

たとえば、台風や地震で借りている人から設備の故障の申し出があった場合、賃料減額の割合と免責期間に応じて賃料が減額されます。

すると、不動産会社が回収する家賃が減ってしまうので、結果としてオーナーへ支払われる賃料も減ってしまう可能性もあるのです。

そのため、契約時に設備故障による賃料の免責期間について、しっかり確認しておく必要があります。

不動産投資における免責期間などの注意点

入居者募集や家賃の回収業務の手間が省けるサブリース契約ですが、契約内容によっては収益が下がる恐れがあります。

免責期間を考慮して収益計算をしたり、免責期間が長いと感じた場合は不動産会社に交渉したりするとよいでしょう。

ここでは、免責期間以外についてもサブリース契約する際の注意点を紹介していきます。

免責期間を考慮して収益計算する


免責期間がある場合とない場合では、オーナーが得られる収益に差が出ます。

そのため、サブリース契約をしないという方法もありますが、オーナー自身が入居者募集や家賃の回収業務などを行うと時間と手間がかかります。

そして、オーナーが自主管理を行う場合は、空室が出ても保証がないので賃料はゼロです。

サブリース契約することにより、空室がある場合でも毎月定額の家賃保証を受けられます。

その一方で、免責期間や再免責期間が長く設定されていると、オーナーが得られる収益が少なくなります。

サブリース契約するときは、免責期間を考慮して収益計算をし、納得できる契約内容なのか確認することが大切です。

免責期間が長いと感じたときは交渉する


前述したとおり、免責期間が長いほどオーナーが得られる家賃保証は少なくなります。

たとえば、1部屋の家賃保証が5万円で、10年間で5回の入退去があった場合に得られる収入の差を表にしてみました。

サブリース契約 パターン① パターン②
免責期間 3カ月 5カ月
再免責期間(入退去5回) 1カ月 3カ月
10年間で得られる収益 5,600,000円 5,000,000円

免責期間が2カ月違うだけで、1部屋あたり10年間で60万円の差があることが分かります。

免責期間が短いほどオーナーが得られる収益が多くなるので、免責期間についてはよく確認するようにしましょう。

賃料減額や契約解除の可能性がある


物件の老朽化や周辺環境によって賃料の見直しが行われた場合、不動産会社からオーナーへ賃料の減額が請求される可能性もあります。

そのため、サブリース契約の期間中は、家賃保証がずっと同じ金額ではないことを理解しておきましょう。

また、契約期間中であっても不動産会社から契約解除の申し出をされる可能性もあります。

これは借地借家法により、借主である不動産会社の権利のため法律的には問題ありません。

一方、借地借家法第28条により貸主であるオーナーからの契約解除の申し出は、正当な事由でなければなりません。

つまり、賃貸の契約解除には正当な事由が必要になるため、不動産会社のほうが優位であることを覚えておきましょう

また、期間満了を待たずにオーナーが途中で解約する場合は、解約金が発生する可能性があります。

参考:e-Gov 法令検索 | 借地借家法第二十八条

収益だけではなく支出もある


サブリース契約では、部屋の原状回復にかかる費用や設備の交換費用、大規模改修工事にかかる費用は基本的にオーナー負担です。
サブリース契約において不動産会社は入居者と同じ立場なので、費用負担をすることはほぼないようです。

長期で契約した際は不動産の維持のことも考え、サブリース契約する際は維持費の分担についても確認しておきましょう。


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