賃貸管理コラム

サブリースは本当に危険?避けるべき逆ざやの仕組みやワンルームマンション投資で失敗しない方法を解説

カテゴリー:


このエントリーをはてなブックマークに追加
64788897_M

老後に備えた資産形成の重要性が高まっている中で「不動産投資」が注目されています。その中でも、初期費用が比較的少なく手間がかかりにくいワンルームマンション投資は、人気がある投資方法の一つです。

しかし、ワンルームマンション投資は、十分な知識と経験なしに安易に始めると、予期せぬトラブルから損失につながるリスクがあります。とくに、ワンルームマンション投資で主流となっているサブリースを利用する場合は多くのリスクがあるため、特性を十分に理解した上で活用すべきです。

ワンルームマンション投資を始めたいと考えている方に向けて、サブリースのメリットとワンルームマンション投資が危険といわれている「逆ざや」の仕組みやそのリスク、失敗しないための方法などを紹介します。

サブリースとは?


サブリースとは、不動産会社や賃貸管理会社がオーナーから物件を長期間借り上げて賃貸の経営や管理を行う代わりに、定められた金額を振り込む方法です。

具体的には、まずマンションのオーナーと不動産会社や賃貸管理会社が「マスターリース契約」を結びます。マスターリース契約は、オーナーと不動産会社や賃貸管理会社との間で結ばれる賃貸借契約です。契約期間中はオーナーが不動産会社や賃貸管理会社から家賃を受け取れます。

一方、不動産会社や賃貸管理会社は入居者と「サブリース契約」を結びます。ここでいうサブリース契約とは、不動産会社や賃貸管理会社が入居者に対してマンションを転貸する契約です。契約後は、入居者が不動産会社や賃貸管理会社に家賃を支払います。このようにサブリースでは二段階の賃貸借契約となるため、いわゆる「転貸」の形態をとるのが特徴です。

サブリースのメリット


マンションのオーナーがサブリースを行うと、不動産会社や賃貸管理会社が貸主として入居者を募集し、内見や契約書のやり取りなどの手続きを一貫して行います。マンションのオーナーは、入居者と直接やり取りをすることがないため、管理の手間を省けます。

また、サブリースは契約で定められた金額を毎月不動産会社や賃貸管理会社から受け取れるので、マンションの空室リスクを避けられるのもメリットの一つです。不動産の投資が初めての方でも、毎月安定した家賃収入を望めます。

サブリースによるワンルームマンション投資が危険といわれる理由

先述の通り、マンションのオーナーにメリットが多いサブリースですが、ワンルームマンション投資が危険だという声も聞かれます。その背景には「逆ざやサブリース」の存在があります。

逆ざやサブリースとは?


投資において、購入価格と売却価格の差額のことを「さや」といいます。このうち、購入価格より売却価格や現在の価格が安くなっている状態が「逆ざや」です。

サブリースにも逆ざやの状態があり、「逆ざやサブリース」と呼ばれています。逆ざやサブリースとは、入居者から受け取る家賃収入よりも、マンションのオーナーに支払う賃料の方が高くなる状態を指します。

逆ざや状態はマンションのオーナーにとって良い条件に見えます。しかし、逆ざやの状態が続くと、サブリース契約を結んでいた不動産会社や賃貸管理会社の倒産や、賃料の不当な値下げを要求されるリスクがあります。

結果、ワンルームマンション投資を継続的に行うことが困難になるリスクがあるのです。また、相場よりも高値でワンルームマンションを販売し、利益を得ることを目的とした不正行為である可能性が高いため、十分な注意が必要です。

逆ざやサブリースの4つのリスク

家の模型を持つ女性

ワンルームマンション投資で逆ざやサブリースの被害に遭うと、以下の4つのリスクがあります。

  • 相場よりも割高な物件価格で購入してしまう
  • 賃料の値下げを拒否すると契約解約になる
  • サブリース会社の経営悪化・倒産
  • 不法行為と判断される場合がある

以下では、逆ざやサブリースの主なリスクについて詳しく説明します。

相場よりも割高な物件価格で購入してしまう


逆ざやサブリースのリスクの一つは、実際の相場よりも割高な物件価格でマンションを購入することです。逆ざやサブリースでは、マンションの販売価格が最初から割高に設定されています。サブリース契約における賃料の差額から生じる赤字を補填し、それでも利益が残るようにするためです。

マンションの市場価格に関する十分な知識がないまま投資物件を購入すると、実際の物件価値よりも高い金額を支払ったり、物件に見合わない高額なローンを組んでしまったりするリスクがあります。

また、サブリース契約終了後は、住宅ローンの返済に必要な金額を家賃収入だけでまかなうことが難しくなるおそれがあります。相場より高い価格で購入したマンションは、住宅ローンの返済額が高くなりますが、家賃収入は相場に基づくため、返済額が家賃収入を上回ってしまうことが多いからです。そのため、マンションのオーナーは、追加の資金を投入しなければならなくなり、経済的な負担が大きくなってしまいます。

賃料の値下げを拒否すると契約解約になる可能性もある


逆ざやサブリースでは、不動産会社や賃貸管理会社が赤字を減らすために、サブリース契約で定められた賃料の値下げを求めてくることがあります。

マンションのオーナーは値下げ交渉を拒否することもできますが、拒否し続けると、不動産会社や賃貸管理会社からサブリース契約の解約を迫られる場合があるのです。一方で、賃料の値下げを受け入れた場合、オーナーの利益が減少しローンの返済が困難になったりするリスクも考えられます。

サブリース契約を解約して自身で管理を行おうとしても、入居者が見つからなかったり、予想よりも低い賃料でしか借り手が現れないことも少なくありません。そのため、オーナーの資金繰りが悪化し、最悪の場合、マンションを売却せざるを得なくなるリスクもあります。

サブリース会社の経営悪化・倒産


サブリース会社の経営悪化や倒産の可能性があることも、逆ざやサブリースのリスクの一つです。逆ざやサブリースは、不動産会社や賃貸管理会社が賃料の差額による赤字や入居者がいない間の賃料を補填するので継続的に会社の経営を圧迫します。

その結果、経営が自転車操業に陥ってしまうケースも少なくありません。自転車操業が追い付かなくなると、マンションオーナーへの家賃収入の送金が止まるリスクがあります。

不法行為と判断される場合がある


東京地裁は、マスターリースをセットにした販売手法において2023年9月に不法行為の判決を下しました。

判決のポイントとしては、不動産会社が逆ざや状態であることを説明せずに物件販売を行ったことが、信義則上の説明義務違反にあたると認定された点です。東京地裁は被告に対して、合計1,475万円の損害賠償の支払いを命じました。

この判決は、オーナーへ支払われる賃料を不当に水増しすることで、マンションの販売価格を高く設定する販売手法に警鐘を鳴らす結果となったものの、逆ざやサブリースを完全に取り締まる法律は確立されていません。そのため、ワンルームマンション投資を検討しているなら、今後も逆ざやサブリースへの注意喚起が必要です。

ワンルームマンション投資で失敗しないための方法


ワンルームマンション投資はサブリースの仕組みを正しく理解し、きちんとした不動産会社や賃貸管理会社に管理を依頼すれば安定した家賃収入を得られる方法です。ここでは、ワンルームマンション投資で失敗しないために知っておきたいポイントを2つ紹介します。

物件の家賃相場や周辺環境を自分で確認する

ワンルームマンション投資の物件を購入する際は、不動産会社や賃貸管理会社の言葉を鵜呑みにせず、自分でマンションの家賃相場や立地エリアの人気度を調べるようにしましょう。

購入を検討しているマンションの家賃相場を調べると、明らかに割高な金額を提示されているなどの違和感に気付きやすくなり、逆ざやサブリースの被害を未然に防げます。

具体的な物件の家賃相場は、不動産会社のWebサイトをいくつか比較したり、複数の不動産会社を訪れて情報収集を行ったりすることで得られます。実際にワンルームマンション投資をしている知人など第三者の意見も取り入れ、総合的な判断を下すようにしましょう。

メリットだけでなくリスクや重要事項についてきちんと説明してくれる会社を選ぶ

ワンルームマンション投資を検討している方は、メリットだけではなく、リスクなどの重要事項もきちんと説明してくれる不動産会社や賃貸管理会社を選ぶようにしましょう。

賃貸経営や管理の実績、地域の家賃相場や賃貸の需要に詳しい不動産会社や賃貸管理会社かどうかも判断材料になるでしょう。

サブリース契約はリスクも伴います。マンションの賃貸経営や管理方法などの詳細を細かく説明してくれて、契約内容や解約条件などの柔軟性が高い信頼できる会社を選ぶことが大切です。


このエントリーをはてなブックマークに追加
<<一覧に戻る