賃貸管理コラム

利回りが低い物件はメリットが多い!利回りが高い物件との違いや安定した経営方法

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rimawarihikui

収益物件の売買情報には多くの物件が掲載されますが、そこに表示される利回りには大きな幅があります。

利回りは高い物件のほうが収益性が高く、利回りが低い物件は儲からないと考える人もいるかもしれません。しかし、利回りだけで判断するのではなく、物件価格や家賃設定を含めて考える必要があります。

利回りが低い物件に注目して、基本的な考え方やメリットについて紹介します。

物件の利回りが低いのはなぜ?

物件の利回りが低いとは、どういうことなのでしょうか。利回りについての基本的な考え方を整理してみましょう。

【前提】利回りとは

利回りには「表面利回り」と「実質利回り」がありますが、収益物件情報に掲載されるのは表面利回りです。

表面利回りは、次の式で計算します。

表面利回り(%)=年間家賃収入 ÷ 物件購入価格 × 100

年間家賃収入は、売り出し時点で設定されている対象物件の家賃です。そのため、対象物件が満室であれば、購入後も一定期間は固定した金額になります。しかし、空室がある場合は金額が変動します。

物件購入価格は設定されている売り出し価格のため、実際の売買取引で変動する可能性のある金額です。

利回りは、「家賃」と「価格」により変動する指標であることを認識しておく必要があります。

理由1:物件の購入価格が高い

物件の購入・建築価格が高いと、利回りは低くなります。

どのような場合に物件価格が高くなるのか、一般的な傾向をいくつか挙げてみましょう。

  • 中古物件よりも新築物件は高くなる
  • 地方都市や郊外にある物件よりも都心の物件は高くなる
  • 木造アパートよりも耐火構造(鉄筋コンクリート造や鉄骨造)のマンションは高くなる

物件の価格は最終的に売主と買主(建築会社と建築主)との間で決定されますが、たくさんの物件の中から検討するにあたって、上記のような傾向は条件を絞るときの参考になるでしょう。

理由2:家賃設定が低い

利回りは物件の購入価格と年間家賃収入から計算するため、家賃設定の違いにより利回りも変わります。

家賃設定が低いと利回りは低くなりますが、先ほどの物件種別によって家賃設定がどのようになるのかについて見ていきましょう。

  • 中古物件は新築物件よりも家賃設定が低い
  • 地方都市や郊外にある物件は都心の物件よりも家賃設定が低い
  • 木造アパートのほうが耐火構造のマンションよりも家賃設定が低い

以上のように家賃設定が低い物件は物件価格も低くなる傾向があります。

しかし、好立地や築浅物件を分析すると、家賃設定の高い物件ほどさらに物件価格のほうが高くなり、結果的に利回りが低い傾向になることを認識しておきましょう。

利回りが低い物件のメリット

利回りが低い物件のメリット

利回りが低い物件は収益性が悪いと思われやすいですが、実は利回りが高い物件と比較しメリットがあります。

利回りが低いことによって生まれるメリットを紹介します。

効率よりも安定性が重要

利回りが低い物件は、ほかの物件よりも価格が高いか、家賃設定が低いかのどちらかです。

賃貸経営を行うオーナーの立場では、利回りが高い物件のほうが収益効率は高いため、メリットがあると考えがちです。

しかし、賃貸経営においては、収益効率よりも収益安定性を重視すべきでしょう。つまり、安定した収益が長く続くことが重要です。

収益効率は、入居率が高いことが前提です。入居率が悪化すると、高い利回りは「絵に描いた餅」であり、予定していた収益は得られません。

利回りを重視するより、満室経営が可能な安定性のある物件を選択するほうが望ましいでしょう。

好立地の築浅物件で空室率が低い

購入価格が高いために利回りが低い物件は、築年数が浅く好立地であり、空室率が低い傾向があります。たとえば東京であれば、都心5区の最寄り駅から徒歩数分にある物件などが当てはまるでしょう。

入居期間が短い場合でもすぐに新規入居が見込め、満室経営に近い状態を維持できます。

出口戦略として数年後に売却を考えた場合でも、好立地な物件は価格低下が少なく、場合によってはキャピタルゲインを期待できるケースもあるでしょう。

価格が高いがゆえに利回りが低い物件は、その詳細を分析するとほかの利回りが高い物件よりもメリットがあるケースが多いです。

低い家賃設定で安定した経営ができる物件も

利回りが低い物件のうち家賃が安い物件は、築年数が古く、年数の経過にしたがって家賃設定が低下した物件が多いです。

減価償却は終わりローンも完済したため、不動産所得税も課税されるので、家賃設定を低くして入居率を高め、満室安定経営に徹する考え方ができる物件であれば、投資対象としては申し分はありません。

一方で、家賃が安くても入居率が悪い物件は投資対象としては難しく、購入するにあたっては価格次第といえるでしょう。

【補足】高利回り物件のリスク

利回りが低い物件だからこそのメリットを見てきましたが、高利回り物件にはどのようなリスクがあるのでしょうか。

高利回り物件は家賃が高いか、価格が安い物件です。このような物件には、以下のようなリスクがあります。

  • 築古物件で空室率が高い
  • 居住性が悪く入居者がすぐ退去する
  • 取得後に大規模修繕工事が必要
  • 修繕費がかさむ

高利回りはあくまでも表面利回りのことで、入居率がゼロの場合は利回りもゼロです。利回りよりも入居率(空室率)が重要であると理解しておきましょう。

サブリースは利回りが低くなるから避けるべき?

安定した経営をする方法のひとつであるサブリースは、物件をまるごとサブリース会社に貸し出し、サブリース会社が入居者に転貸する方式です。手数料がかかるため、どうしても利回りが購入時より低くなる傾向にありますが、採用すべきではないのでしょうか。

サブリースの場合の利回りがどのようになるのか、サブリースを採用するときの考え方や注意点について解説します。

目標利回りと手数料の考え方

サブリースは安定した家賃収入を得られる方法です。ではサブリースによる賃貸経営を行った場合、利回りはどのようになるのか検証します。

サブリースは、空室の場合であっても家賃がサブリース会社から支払われるため、利回りがゼロになることはありません。

満室時の家賃の約85%がオーナーに支払われる契約で、差額の約15%はサブリース会社の手数料です。

サブリース会社への手数料を考慮して利回りを計算すると、次のようになります。

サブリースの利回りシミュレーション表(%)
表面利回り 満室時の家賃のうちオーナーが受け取る割合
85.0% 84.0% 83.0% 82.0% 81.0% 80.0%
10.0% 8.50 8.40 8.30 8.20 8.10 8.00
9.0% 7.65 7.56 7.47 7.38 7.29 7.20
8.0% 6.80 6.72 6.64 6.56 6.48 6.40
7.0% 5.95 5.88 5.81 5.74 5.67 5.60
6.0% 5.10 5.04 4.98 4.92 4.86 4.80
5.0% 4.25 4.20 4.15 4.10 4.05 4.00
4.0% 3.40 3.36 3.32 3.28 3.24 3.20

横軸は、満室時の家賃に対する手数料を差し引いた残りの家賃の割合です。つまり手数料を15~20%で設定しています。縦軸は、入居者が支払う満室時の家賃収入に対する表面利回りです。

たとえば、表面利回り7.0%の物件をサブリース契約し、その手数料を17%とするとオーナーが受け取る家賃の利回りは5.81%になります。

サブリースを検討する場合、上の表にもとづき、目標とする利回りと検討中の物件の表面利回りを比較すると、サブリース会社の手数料をいくら以下に設定するとよいかがわかります。

なお、手数料は会社によって異なることはもちろんですし、交渉によって変動することも理解しておきましょう。

結果としてプラスになる可能性がある

サブリースで経営するか、オーナー自らが経営するかを判断するとき、安定経営の具体的な目標を定めましょう。

表面利回り8%の物件を検討している場合、サブリースにするとオーナーが受け取る家賃利回りは6.8~6.4%になります。

一方で、表面利回り8%の物件に2カ月間の空室期間が生じると、利回りは約6.6%にまで低下します。3カ月間の空室期間では約6.0%になり、結果としてサブリースのほうが収入がプラスかもしれません。

高い利回りを維持するのか、利回りが低下しても安定した収入を確保するのかは、投資目標に関係する重要な考え方です。

信頼ができるサブリース会社に相談する

サブリースは、サブリース会社に物件の管理を任せておくだけで毎月一定の家賃収入を得られる安定性の高い経営方法ですが、契約時に注意する点もあります。

  • サブリースによる保証家賃は将来変更される可能性がある
  • 修繕工事や原状回復工事などはオーナー負担
  • 設備機器などの交換費用はオーナー負担

賃貸経営は将来起こり得る、さまざまな費用や条件の変更を織り込んだ事業計画が必要であり、サブリースでもこの原則は変わりません。

そのため、親身になってアドバイスをくれる等、信頼ができるサブリース会社の存在が必須です。特に手数料については利回りを左右するため、よく検討すべきでしょう。

何より担当者の対応を見極めるためにも、まずは気軽な相談から始めてみましょう。


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