賃貸管理コラム

戸建て賃貸の利回りはどれくらい?理想の利回りまで上げる具体策や成功のコツ

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賃貸経営をするオーナーにとって、利回りは投資の成否と直結するため、特に重視するポイントです。

不動産投資に興味を持つ人が増える中で戸建て投資の場合、ファミリー世帯が入居することが多いため、一度入居してもらえれば、長期的に安定した収入が得られる可能性が高く注目されています。

本記事では、戸建て賃貸の利回りについて、アパート投資などと比較しながら詳しく説明します。また、利回りを上げる具体策や経営を成功させるコツも紹介します。

戸建て賃貸の利回りについて

ここでは戸建て賃貸の利回りについて基本的な考え方と、アパートやマンションとの違いについて説明します。

利回りの考え方

賃貸住宅の利回りは、戸建てやアパートなどの物件は問わず、次の式で計算します。

利回り=年間収益額 ÷ 総投資額(投資物件の取得費用総額)

年間収益額の計算方法により、利回りは次の2種類に区分します。

表面利回り
年間の家賃収入を収益額として計算
実質利回り
年間の家賃収入から必要な費用を差し引いた実質的な収益額で計算

さらに実質利回りには、以下2種類の計算方法があります。

  • 設定家賃に基づいて計算
  • 空室率(入居率)を考慮して計算

一般的には、設定家賃に基づいて計算する実質利回りが使われます。

ただし、空室率を考慮しない利回りはあくまでも期待値です。経営状態や稼働状況を正確に把握するには、空室率を考慮して収益額を計算する必要があります。

利回りの相場は地域によって異なる

一般財団法人 日本不動産研究所では定期的に「不動産投資家調査」を実施しており、賃貸種類別や地域別に期待利回りを公表しています。

期待利回りは、あくまでも投資家が期待する家賃収入から求めた利回りのため、実績値の把握はできません。

たとえばファミリータイプの賃貸住宅一棟の期待利回りは、以下のとおりです。

ファミリータイプの賃貸住宅一棟の期待利回り
期待利回り(%)
東京・城南 4.2
札幌 5.5
仙台 5.5
横浜 4.8
名古屋 5.0
京都 5.1
大阪 4.7
神戸 5.1
広島 5.6
福岡 5.0

参考:一般財団法人 日本不動産研究所「第46回 不動産投資家調査(2022年4月現在)

また、利回りは投資物件の取得費用により変動します。そのため利回り相場を把握して個別の投資戦略を立てるより、全体のトレンドを把握する目的で相場観を捉えるほうが望ましいでしょう。

戸建てとアパートの比較

戸建て賃貸物件とアパートとでは、利回りが異なるのでしょうか。

実際の利回りは、戸建のほうが大きく変動します。

その理由は、戸建て住宅は複数戸あるアパートなどと違い、入居者が決まらないと利回りがゼロになるからです。

アパートはすべての部屋が空室という状態は現実的でなく、利回りがゼロになるケースは非常に少ないといえるでしょう。

つまり、戸建て賃貸は利回りがゼロになる確率が高いことに注意が必要です。

これは、期待利回りが10%を超える物件でも、5%を下回る物件でも同じです。平等に利回りがゼロになる可能性が常にあることを理解しておきましょう。

理想の利回りは?

戸建て賃貸の利回りは、どれくらいが理想なのでしょうか。

現在の日本は低金利が続いており、不動産投資による利回りが3%程度であっても、貯蓄などに比べれば高い投資効率といえます。

地域や建物の状態でリスクのとり方が違うため一概にはいえませんが、一般的には5~8%が理想だと考えられるでしょう。

戸建て賃貸の利回りを上げる具体策

戸建て賃貸の利回りを上げるための戦略は、4つの視点から検討しましょう。

適正な家賃設定をする

利回りを高く維持するには、家賃を適正な金額に設定することが重要です。

高すぎる家賃は入居者が見つかりにくいですが、安すぎる家賃は入居が確実でも利回りは低くなります。

エリア内の相場家賃を考慮しつつできるだけ高めの家賃設定にするには、設備の仕様やグレードもしっかりと検討しましょう。過剰な設備は無駄な投資になりますが、低いグレードの設備ではなかなか入居者が決まらないおそれがあります。

空室期間を短くする

入居率が高いと、一般に実質利回りがよくなります。戸建て賃貸の場合、入居者が入れ替わるときに、いかに空室期間を短くできるかがポイントです。

空室期間を短くするには、以下などを心がけましょう。

  • 退去通知到着後すみやかに募集を開始できる準備をする
  • 退去確認後すぐに原状回復工事に着手する

また物件の新築や新規物件の取得する場合は、立地条件が大きなポイントです。

  • 交通の利便性
  • 公共施設へのアクセス
  • 商業施設の充実度

これらのポイントについて物件状況を確認することが、高い入居率を確保するために重要です。

長期間の入居をしてもらう

前述したとおり、戸建て賃貸はアパートと比較して分散性が弱く、全く入居者が集まらなければ利回りはゼロになります。

空室が生じて収益性が一気に低下するのを防ぐには、長期間の入居を実現することが重要です。つまり入居者に長く住んでもらえるような工夫が必要です。

長期入居は空室が生じないのはもちろんですが、次のようなメリットがあります。

  • 家賃変更の頻度が低い
  • 原状回復工事が長期間不要

このように経費支出が抑えられ、家賃の値下げによる収益性の低下を防げます。そのためには次のような経営戦略が必要です。

  • 長く住みたいと思える快適な生活空間を提供する
  • コミュニケーションを図りクレームなどには早めに対処する
  • 設備のメンテナンスや交換を計画的に行う

経費の見直しをする

次のような経費の見直しをすると、利回りを上げられる可能性があります。

  • 修繕工事内容の妥当性
  • 修繕費用が適正な金額か
  • 無駄な経費はないか
  • 支出経費内容の妥当性

オーナーが自主管理を行っている場合でも、工事業者や清掃業者への外注は欠かせません。外注単価が妥当なものかどうかを検証しましょう。

また管理業務を委託している場合でも、契約更新時に同様の検証を行うことをおすすめします。

利回りだけで判断すると失敗する!

データを確認する男女2人

利回りのみを重視する賃貸経営はリスクが大きく、安定性も重要な要素です。

安定性を重視する経営戦略

賃貸経営では収益性が重要ですが、戸建て賃貸の場合は特に、安定した経営のほうを重視するべきです。

戸建て賃貸は、空室になると収入はゼロになるのが、アパート経営と異なるところです。そのため、賃貸経営では収益性が重要ですが、それよりも安定性を重視する経営戦略を練りましょう。

長期入居の可能性が高いほど安定性はよくなりますが、募集時点で長期入居限定にはできません。住み続けてもらえるかは、入居者次第です。

そのためには管理会社の機動性も重要なため、依頼先の選択は大きなポイントです。

管理会社選びが成功と失敗の分かれ道

戸建てはファミリー世帯が入居することが多いです。また敷地利用権が一般に認められるため、屋外の維持管理などは入居者に求めることが多くなります。

そのためアパートなどよりも、密な人間関係が必要になるケースが多いです。管理会社にはビジネスライクな対応ではなく、より親身な関わりを期待する場面が多いといえるでしょう。

そして入居者と管理会社あるいはオーナーとの人間関係が深まるほど、長期入居につながる可能性があります。

管理会社は、経営の安定性を維持する重要な役割があるといえます。

リスクを回避したいならサブリース

戸建て賃貸の経営に安定性を求めるなら、サブリースがおすすめです。

サブリースは、サブリース会社とオーナーとの間で賃貸借契約を交わしたあと、サブリース会社が入居者を募集して転貸する経営方法です。

オーナーはすべての業務をサブリース会社に任せられますが、家賃収入は一般的な賃貸経営の満室時の約8割です。利回りは下がりますが、空室でも毎月一定の家賃収入を受け取れるメリットがあります。

実際にオーナーが手にする実質利回りは、空室率を考慮した利回りよりも高い可能性があります。空室リスクを考えると、サブリースは有効な選択肢です。

まずはサブリースの実績が豊富な不動産会社に相談してみましょう。


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