賃貸管理コラム

サブリース契約期間の目安は?契約が終了した場合の対処法や注意点を紹介

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サブリースとは、アパートやマンションのオーナーからサブリース会社が物件を丸ごと賃貸して、入居者に転貸する賃貸経営の方式です。オーナーは毎月、満室時家賃の約80~90%をサブリース会社から受け取ります。

サブリースの契約期間とは、オーナーとサブリース会社が締結する賃貸借契約の期間です。どれくらいの期間にするかは、契約当事者の間で自由に決めることができます。

ただし、契約時に定めた家賃が保証される期間ではないため、注意が必要です。

本記事では、サブリースにおける契約期間の目安や、契約が満期を迎えたときの対応などを解説します。また、契約期間以外にサブリースで注意するポイントも紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。

サブリースの契約期間

ここでは、サブリースにおける契約期間の目安や家賃保証について解説します。

契約期間の目安

サブリースの契約期間は、一般的には10年以上で設定されます。実際の大手サブリース会社の契約期間は、下表のとおり10〜35年で設定しています。

社名 一括借上期間(年)
D社 10
D社 35
R社 30
S社 10、20、30

新築物件では30年もしくは35年で、既存物件では10年に設定しているケースもあります。

サブリースはオーナーにとっては収益性の安定化ができ、サブリース会社にとっては管理委託事業よりも高い収益が見込めます。互いにとってメリットのあることが前提の契約です。

家賃が保証される期間ではない

サブリースでは、空室があってもオーナーが受け取る家賃が保証されるサービスです。

しかし、オーナーとサブリース会社との間で取り決める保証家賃は、10年を超える長期の契約であっても、10年間だけに適用することが多いです。

たとえば30年契約では、設定した家賃は当初10年間の金額で、11年目で見直して以降5年ごとに見直す、といった仕組みです。つまり、保証家賃は変動することが前提です。

また、当初10年間の契約期間中であっても、保証家賃が減額されることもあります。具体的には、入居状況や賃貸市場環境の変化を理由に、サブリース会社から家賃値下げ請求をされます。

中途解約はできる?

サブリースでは、以下2つの契約が締結されます。

マスターリース契約
オーナーとサブリース会社が結ぶ賃貸借契約
サブリース契約
サブリース会社と入居者が結ぶ転貸借契約

サブリース会社はオーナーから物件を借りて、それを入居者に転貸します。そのため、正確にはサブリース会社は転貸人の立場となり、入居者は転借人の立場になります。

借地借家法により、賃借人や転借人は自己都合での中途解約が可能です。つまり入居者は契約期間中の解約はいつでも可能であり、サブリース会社とオーナーとのマスターリース契約は、サブリース会社からはいつでも中途解約が可能です。

ただし、オーナーは賃貸人の立場であるため、一方的に中途解約できません。

サブリースの契約期間が終了したら?

疑問を浮かべる女性

サブリースの契約が満期を迎えると、更新するか契約終了するかのいずれかを選択することになります。

オーナーは借地借家法による制限があるため、サブリース会社の判断に委ねる部分が大きくなります。

契約更新を拒絶することは難しい

マスターリース契約は、賃借人つまりサブリース会社が契約の更新を希望すると、オーナーは更新に応じなければなりません。

サブリース会社には契約の更新を希望する権利があり、オーナーが更新を拒絶するには正当事由が必要です。

正当事由かどうかは、以下の状況を加味して判断されます。

  • オーナーおよびサブリース会社が賃貸物件を使用する必要性
  • これまでの利用状況
  • オーナーからサブリース会社に対する立ち退きにあたっての財産上の給付

一般的には立ち退き料など金銭的な負担がないと、更新拒絶や解約ができません。

反対に、オーナーからの更新希望はサブリース会社にとってメリットがあれば更新しますが、明らかなメリットがないと難しいでしょう。

つまり契約を更新するかの判断は、サブリース会社に委ねられているといえます。

解約後の入居者

サブリース会社との契約が終了または解約した場合、入居者の立場はどのようになるのでしょう。

入居者は、サブリース会社と転貸借契約を締結して入居しています。そのためマスターリース契約が終了すると、以下2つから選ぶ必要があります。

  • オーナーと入居者で改めて賃貸借契約を締結する
  • 別のサブリース会社とマスターリース契約を締結し、サブリース契約を新たに入居者との間で締結する

入居者には居住権があるため、オーナーはマスターリース契約の解約で入居者に不都合が生じないようにする責任があります。

契約期間以外に押さえておくポイント

サブリースでは、契約期間以外にも注意するべき3つのポイントがあります。

修繕費の費用負担

サブリースでは、「オーナーは所有、事業者は運営」といった役割分担の考え方があります。

しかし、運営には費用負担が伴うため、修繕費などの費用負担については明確に定めておく必要があります。

  • 退去後のクリーニング
  • 設備の修繕
  • 原状回復

上記にかかる費用が、オーナー負担かサブリース会社の管理業務の範囲で行うのか、基準を作っておく必要があります。

一般的には、多額の費用がかかるリフォーム工事や大規模修繕工事はオーナー負担で、工事業者の選択や発注権限をサブリース会社に委ねることが多いです。オーナーの裁量が反映されず、割高な工事費になるケースもあるため注意しましょう。

既存物件の一括借上げ範囲

新築ではなく、既存物件を使用してサブリース方式での賃貸経営をするケースでの契約期間は、10年以内とすることが多いようです。

既存の賃貸物件をサブリースに切り替える時点で、入居者がすでにいる部屋の扱いを明確にする必要があります。

具体的には、以下2つの方法があります。

  • 空室のみをサブリース対象とし、既入居室が空室となったときにサブリースに切り替える
  • 既入居室を含めすべてをサブリースにする

既入居室を含めサブリースに切り替える場合は、入居者との賃貸借契約の変更や保証委託契約の変更など、必要な手続きを忘れないようにしましょう。

また、オーナーの家賃収入はサブリース切り替え時点で増減します。収支計画を見直し、ローンの返済計画に狂いが生じないようにする必要があります。

サブリース会社選び

サブリース会社は、大手の企業だけでなく、地域密着の企業も選択肢のひとつです。

サブリースは、業種としては賃貸住宅管理業になり、賃貸住宅管理業法が適用されます。

賃貸住宅管理業法では、空室を含めた管理戸数が200戸以上となる管理会社は、国土交通大臣の登録を受け、事業者としての要件を満たす必要があります。サブリース会社を選ぶときには、登録を受けた会社のほうが安心できそうです。

登録を受けた会社は経営状態について、一定の情報をオーナー側に公開することが義務づけられています。これにより、サブリース会社としての適格性をチェックできます。

まずは一度サブリース会社に相談してみることから始めましょう。


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