サブリースとは、管理会社がオーナーから一括で物件を借り上げ、借り上げた物件を入居者に転貸することです。
よって、実際に住んでいる入居者にとっての貸主は、管理会社であり家賃収入も管理会社側に入ります。
では、オーナー側の収入はどうなるのか?
オーナー側の収入に関しては、予め家賃の何割を保証するのかを契約段階で決定し、保証された割合の賃料が管理会社からオーナーへ支払われます。
そして、実際の入居者から支払われる家賃収入から上記の保証賃料を差し引いた部分が、サブリース手数料であり、サブリース業者である管理会社の収益になります。
もちろんですが、サブリースの手数料は一般的な管理手数料よりも高くなります。
先述しましたが、サブリースのメリットは空室リスクを減らすことが出来る点です。
実際に部屋が空室であったとしても、サブリース業者は、一括で物件を借り上げている訳ですので、一定の保証賃料は契約通り支払わなければなりません。
要は、オーナー側からすると空室が発生したとしても一定の保証賃料は支払われる為、一斉退去によって家賃が激減してしまう、というリスクを減らすことが出来ます。
ここまで聞くと、とても魅力的に感じますが、サブリースは契約上のトラブルがとても多く、その中には契約内容をしっかり理解出来ていれば防げたものも少なくありません。
次は、サブリースで実際に起こったトラブルについて紹介します。
では、サブルース契約によるトラブル事例について確認しましょう。
「もし自分にも同様のトラブルが起こったら。」と言う目線で確認してみてください。
保証賃料の減額によるトラブル
サブリースの契約期間については、10年契約の業者もあれば、30年の業者もあります。
ただ、例えば10年のサブリース契約の場合であっても、保証賃料も10年間一定であるかと言うとそうではありません。
契約内容によって様々ですが、大半の業者が「2年ごとの見直し」など、業者ごとに見直し期間を設けています。
しかし、投資家によっては、「契約期間は一定の保証賃料が入ってくる」と勘違いして契約してしまうケースもあり、それが、以後のトラブルにつながってしまうのです。
業者の説明が不十分であったと言えばそれまでですが、契約書に書いてある以上、最終的に損をするのは投資家自身である為、契約内容はしっかり理解する必要があります。
サブリース業者の倒産による保証賃料未払いトラブル
サブリース業者も民間企業ですので、もちろん倒産リスクは存在します。
業者が倒産してしまったあげく、保証賃料が入ってこなくなったというトラブルも存在します。
最近で特に有名な事例が、某シェアハウス運営会社の倒産です。
訴訟問題まで発展したことはもちろんですが、大口融資元であった銀行まで責任問題が問われるなど、何かと大事になったため、ご存じの方が多いと思います。
極端な例のように感じますが、実際、業者の倒産により、2年以上の保証賃料が未払いになったケースも他の事例として存在するため、業者の財務状況についても注意する必要があります。
退去が発生する度に免責期間が発生する契約によるトラブル
サブリース契約を結んだ場合、新築であれば建物の引き渡しを受けて2ヶ月から3ヶ月ほどの期間は入居募集のための免責期間を設けることが一般的です。
しかし、業者によっては、退去の度に免責期間が発生する契約内容になっている業者も存在します。
本来であれば、サブリースは空室が発生した場合のリスクを軽減させるためのサービスです。
嘘のような話ですが、このように本末転倒の契約内容になっている業者も中には存在します。
サブリース契約が解除できないトラブル
物件を売却するケースでは、所有権が買い主に移転しますので、買い主がサブリース契約を嫌がった場合には、サブリース契約を解除する必要があります。
このようなケースでよくあるのが、サブリースの途中解約ができないと言うトラブルです。
サブリース業者からすると、満室稼働している物件であれば、サブリース契約を持続させた方が儲かる為、オーナー都合で解約できない契約になっている業者もあります。
あくまでオーナー側から見た借主は、サブリース業者であり、借主は借地借家法によって保護される為、オーナー不利になる場合がほとんどです。
このようにならないように契約する際には、途中解約が可能であるかをしっかり確認する必要があります。
それでは、優良なサブリース業者の見分け方についてトラブル事例を基にして解説します。
業者の善意、悪意は関係なく、結果的に損をするのは投資家自身ですので、これからの解説を参考にして業者の見分け方を身に付けてほしいと思います。
契約内容を明確に説明してくれる
トラブルを避けたいのは投資家だけではなく、業者側も同様と考えるのが普通です。
契約時に投資家が理解出来ていない様であれば、理解できるまで説明してくれる業者を選びましょう。
逆に、契約内容を説明せずにサインを求めてくる業者は要注意です。
また、投資家から見て重要である内容について説明をしない、こちらからの質問に対してうやむやにして論点を変えてくるような業者はやめておきましょう。
財務状況が健全である
上場企業でない限りは、決算状況の確認が出来ませんが、財務状況を少しでも自分なりに把握しようとすることは大切です。
担当者が、正確に説明できるのであれば最も良いですが、基本的に自社に不利なことは言わないと思っておきましょう。
いくつか指標として、管理戸数や入居率、従業員数、資本金などは、参考になります。
採用情報の採用条件などを参考にしても良いでしょう。
業者の倒産リスクを考えて、財務状況が健全な業者選びをしましょう。
2020年6月より公布された「サブリース新法」により、業者による誇大広告、不当な勧誘が禁止され、契約時に書面による重要事項説明が必須となりました。
事業者側に対する規制になりますが、これですべての業者が健全になるのかと言うと、そうとも言い切れません。
投資家である以上は、リスクは自信で回避する必要があります。
ここまでは、サブリースのトラブル事例をテーマに解説しましたが、サブリース業者の中には健全に事業展開をしている優良な業者もたくさんあります。
今回の内容を参考に、優良な業者の見分け方、逆に悪質な業者の見極め方を投資家自身でも考えて頂き、今後の業者選びに活かしてほしいと思います。